休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

ライブハウス文化論

夢追う若者から団塊世代までが集い、音楽でのしあがり、音楽を楽しみ、
音楽を介して人と出会うための場であるライブハウス。

ロック喫茶・ジャズ喫茶を出自とし、「政治の季節」にカウンター・カルチャーを支える一方で、
1980年代を転換期として高度に商業化・システム化していくライブハウスの歴史を浮き彫りにする。
そのうえで、ミュージシャンに課せられるノルマやチャージ制度の実情、プロフェッショナルとアマチュア、インディーズの差異などをレポートし、
アメリカのミュージック・クラブやカラオケとも比較して独自の文化形態を明らかにする。

戦後日本の「生演奏の空間」を担ってきたライブハウスの魅力に迫り、そのゆくすえを探る音楽文化論。

と、いうわけで。
書いてある内容については、
ライブハウスの歴史、現在のライブハウスの定義、範囲、
矛盾点、問題点、取り巻く環境、新たな形態の紹介、諸外国事情などなど。
非常にわかりやすく、丁寧にまとめられているなぁと感じます。
ただし「文化論」と名乗るには甘いというか物足りないというか。
結局のところ「ライブハウスの行く末」を探っているはずの第6章は
20ページ足らずで、中身もこれまでのまとめに過ぎない。
最終的に「ライブハウスのような空間として変わり続けていくだろう」
という結論にたどり着いてしまうことが、
ライブハウスを文化論まで高めることの難しさを示しているというか。
なるほど著者も述べている通りライブハウスの多様化は「何のための」から「誰のための」に
目的が変化し、結果としてライブハウスであることの必然性をなくしてしまった以上、
「行く末」はそんな風にしか書きようがないと思う。

とはいえ、この本の優れているところは、
プロを目指してバンドやってたり、そういう人と関わったり、
ライブハウスに出たりしていた人なら考えたかもしれないような疑問や感覚を、
うまく名づけているところにあると思う。
冒頭に出てくる「ライブハウス依存症」、あるいは全編を通して問題とされる
ライブハウスの「システム化」などなど。
80ページから書かれているような日本における顕在的なミュージシャンの構造と、
潜在的なミュージシャンの構造の図なんかは、
そのへんの「俺は音楽で飯喰ってくんだ!」といっているピーターパンたちに
見せて考えてみてほしい。

(本書、80ページより。ちょっとわかりづらいかも)

ライブハウス文化論 (青弓社ライブラリー 53)

ライブハウス文化論 (青弓社ライブラリー 53)