映画「まともな男」/やめろー、やめてくれーのそれはまさにホラー
秋の公開時に見に行きたかったままで行けなかった映画を、見てきました。
休暇で来たスキー場。預かっている上司の娘の身に、ある悲痛な事件が起こる。父親トーマスは保護者として穏便に済ませようとするが、事態はどんどん悪い方向へ進んでゆく……。
平凡な、というよりも凡庸な会社員トーマス。先日アルコールが入った状態で気に入らない同僚の車にわざとぶつけるトラブルを起こし、セラピーに通っている。「どうしてそんなに飲んでしまったと思いますか?」という問いにも「たまたまだ、私はいたって“まともな男”なんだ」と答えている。そしてトラブルのことも、セラピーのことは家族には内緒。まぁちょっとしたお酒のトラブルなのだ、と。
家族でやってきたスキー場。途中で家族とちょっともめたり、妻や娘との約束を守っていないことを指摘されたりもあったけれど、上司の娘も預かって別荘へ。そして……
というのがあらすじ。
まぁ予告編を見れば推して知るべし、な内容なのだけれど、この「まともな」会社員トーマスの感じが素晴らしい。どんどんドツボにはまっていく。ただそれは「いかにも」なわざとらしい感じ、フィクションの感じではなく、いかにもありそうな、簡単に起こってしまいそうな出来事、保身、優柔不断が積もり積もって最後の事件へ。もう途中から、やめろ、やめてくれ、もうダメだ、トーマスやめるんだ、それじゃもっとひどいことになってしまう…!となってしまう感じはまさにホラーのそれだよな、と思うのです。
起こりうる最悪の事態を積み重ねて、それでも人生は、日々は続いていく。最後のパーキングでのシーン、その後の運転シーンはせめてもの救いなのか、後味の悪さを増すための演出なのか。
FMポートの遠藤麻理さんも、“普段はホラーを中心に観るのですが、「まともな男」ははどのホラーよりも恐ろしかったです。”という感想を下さいました。 https://t.co/PiNs7ON7xO
— Cafeガシマシネマ (@gashimacinema) 2018年1月28日
いやはや、思ってた以上にスリリングだった。