休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

【読書】「男らしさ女らしさ」を超えてコミュニケーションしていくためにーたたみかた 第2号

「30代のための新しい社会文芸誌」を掲げる「たたみかた」の第2号が出ました。

たたみかた 第2号 男らしさ女らしさ特集

たたみかた 第2号 男らしさ女らしさ特集

 

 2017年4月の創刊号から1年3か月ぶり。今回の特集は「男らしさ女らしさ」。ぱっと字面だけを見たときは少しクエスチョンマークが浮かんだのが正直なところだったけど、「特集のはじまりに寄せて」を読んで納得。日増しに高まる「男/女」について語ることの難しさについて、編集長の三根さんの中に芽を出した「怒り」に向き合うことからはじまったという。そして、それも含めた「怒り」「固有の私」「別個と同体」という3つの言葉が今回の特集の柱なのだ、と説明する。

「怒り」の中身や諸々の向き合いこそがこの特集の中身なので、そこはぜひ本誌を読んでみてほしいのだけれど、僕自身は「性別」というものが(もちろんLGBTも含めて)これほどまでに近く、あらゆる個人にひっついて、あらゆる文脈に付随して、ある種ミクロな話なのに、大文字で「男は~」「女は~」、あるいは「性別とかじゃなく~」というスケールになってしまう。場合によっては、顔の見えないもの同士でのぶつかりになってしまう。そんな状況への違和感やもどかしさと、それを超えるためのコミュニケーションの「ありかた」みたいなものを探す特集なのだと読んだ。前回の福島特集に引き続き、センシティブだけど、目を背けてばかりもいられないところだと思う。私と社会、私と他人でどう距離を取るのか。向き合うのか。私もまた社会の一員でもあり、誰かにとっての他人でもあり。

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前号に引き続き登場のソマリアで活動する永井陽右さんの話は、突き付けてくるものがある

 

あえて「ありかた」みたいなもの、としたのは、「ありかた」とだけ言うと何か正解があってそこにたどり着こうとするもののようなニュアンスが出るかもしれないと思ったから。でもここで行われているのは、何か唯一の正解を探そう、というものではなく、自分はどんなスタンスでいるか、いたいかを探すような感じ。

「私とあなたは違う生き物。違う感じ方をする。そのうえで、どう対話しましょうか、コミュニケーションしましょうか」という価値観は、これだけコミュニケーションの手法にあふれ、様々な背景を持つ人たちが交わり、言葉や思想を超えた関係ができている世の中で、1つ、ベーシックなものだと僕は思っていて(もしかするとそこには「宗教の無さ」みたいなものがあるのかな、と考えたりはする)。創刊号に『「たたみかた」は方向性』だという話があったけれど、「向き」が個々のインタビューや記事それぞれの1つ1つとは別に、通奏低音のように示されているように思う。ネットでは目立たないのかもしれないけれど、一定数その方向性にシンパシーを感じる層がいるなら、なんかちょっと勝手に救われる気分でもある。

そして、その方向に向かって進んでいくことの困難・・・例えば価値観を異にする人とのかかわりもそうだし(それこそ「多様性を認めない人の多様性」なんて話も出てくるけれど)、自分がその姿勢を持ち続けることも意外と難しいのもある。そこを強引にがんばろう!とするのではなく、真摯に向き合ってる感じがとてもいいなぁ、と。

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 実売までは伺い知れないけど、前号よりも64ページ増(140p→204p)、表紙も特殊紙に金の特色印刷と、想定もより豪華に(amazonのサムネだと伝わらないけど…)なっているあたりが、実は手応えだったり、届いている実感だといいなぁ。