ルネサンスとは何であったのか
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/04/01
- メディア: 単行本
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単行本を借りましたが、最近文庫本でも出ました。
ルネサンス精神とはなんであるか。
一般的に歴史で教えられるダンテの神曲からではなく、その精神、
つまりキリスト教世界などの二元論的思考から、古代ローマの復興、
一元論的な考え、そこから生まれる克己心。
それらの出所はどこにあるか、アッシジの聖フランチェスコ、
神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世らからたどっていく。
著者曰くルネサンスとは、あくなき探求の賜物であり
「見たい知りたいわかりたい、と望んだ人間が、それ以前の時代に比べれば
爆発的としてもよいくらいに輩出した時代」である。
その理由、バックグラウンドとなるものとして聖フランチェスコらが紹介されている。
また絵画や建築だけにとどまらず、政治や文学の分野にも範囲を広げている。
ルネサンスの普遍性としてその精神はキリスト教世界以外にも関わることである、とし、
またその遺産として芸術品、精神の独立に対する強烈な執着、一元論的な考え方、という3点を挙げている。
単なる華やかな時代、文芸復古だけではないルネサンスの姿がよみがえってくる。
個人的には一元論的な考え方、という点が印象に残る。
キリスト教の世界観から脱却した形の問いの形がキリスト教の世界観における
「善か悪か」ではなく、「〜とは何か」という形式の問いがそこで生まれることで、
古代ギリシャで完成された哲学や思想がまた近代に向けて解釈されていく
素地となったのではないかと思う。
文章は対話形式という手法で書かれており、テンポが良くて読みやすい。
こういうのも塩野七生の特徴ではなかろうか。
久々にほかの物語のもんも読みたい。