休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

チェンジリング

許されざる者』(92年)と『ミリオンダラー・ベイビー』(04年)で2度に渡ってアカデミー監督賞を受賞。ハリウッドのトップスターからも熱い信頼を受けている名匠クリント・イーストウッド。彼が、『17歳のカルテ』(99年)でアカデミー助演女優賞に輝き、ブラッド・ピットのパートナーとしても注目を集めるアンジェリーナ・ジョリー主演で描く、実話に基づく衝撃の感動作。

舞台は1928年のロサンゼルス。シングルマザーとして9歳の息子を育てるクリスティンは、ある日、同僚の頼みを断り切れず、休日を返上して仕事に向かう。だが、仕事から戻ったとき、家の中に息子の姿は見あたらなかった。

急いで警察に連絡するも、親身になってくれず、誘拐なのか家出なのかの判別もつかぬまま、時は過ぎ去っていく。眠れぬ夜を過ごすクリスティンは、仕事の合間に全米各地の行方不明者相談所に電話をかける日々。が、5か月後、事件は急展開を見せる。警察から、息子が見つかったという連絡が入るのだ。思わず涙ぐむクリスティン。だが、再会の日、彼女の前に姿を現したのは、まったくの別人だった──。

と、ここまでのあらすじだとなんてホラー、なんですが、
物語はここから。
この子は息子じゃない、と訴える母は、警察から「厄介者」扱いとなり、
精神病院へ強制的に「送り届け」られてしまう。
一方行方不明の息子、ウォルターは実は連続児童誘拐殺人事件に巻き込まれており・・・


すごかった。圧倒されました。
物語はもちろん、主人公クリスティンの静かな強さをはじめとして、
ジョン=マルコヴィッチ、いかにもな感じの警部ジェフリー=ドノヴァン、
殺人狂ノースコットを演じるジェイソン=ハドラー=ハーナー、
そして子役もよかったし、色彩や場面の雰囲気なんかもいい味を出してたように思う。

例えばノースコットは登場シーンこそ決して多くはないけれど、
強烈な印象を残してくれました。
死刑を明日に控え、予想もしなかったクリスティーンの訪問、
そして「息子を殺したのか?」という問いに
「今ウソをつくとせっかく懺悔を済ませたのに地獄行きになる」と言い逃れるシーン、
絞首台の上で「きよしこの夜」を歌う(というにはあまりにか細かったけど)シーン・・・。
あるいは警察につれてこられる偽の子どもが「本物の」母に連れて帰られるシーン。
ノースコットとともに誘拐、殺人を犯した少年が自らの罪を告白するシーン。
精神病棟や、冒頭と最後を飾るモノトーンのロサンゼルスの街並み。
殺人が行われた牧場のなんともいえない不気味な雰囲気、などなど。


主なところは誰が本当のことを言っているのかわからない状況の中で、
やりきれないような現実が迫る中で戦うことの力強さ、母の強さ、
なんてところになるのかもしれませんが、
それ以外にも多くの示唆に富む映画だと思う。
・・・示唆に富むっていうとあれかな。
話の中ではついに誰一人「ウォルターが死んだ」という事実を見た人はいない。
実際クリスティーンは生涯息子を探し続けたという。
最後まで人探しの事務所に電話をし続けるところなんて、もうなんて言えばいいのか。
そして最後に得られた情報に「希望を見つけた」というときの笑顔。
希望は捉え方次第なのかもしれないし、
希望を見つけるには、希望があると信じられる強さが必要なのかもしれない。

全てがハッピーエンドになるような「救い」が訪れる前に映画は終わる。
後味が悪いなんてことはなくて、余韻が深くなる感じ。


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