美術館という場と調和して/内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」
内藤礼という人の作品を初めてみたのは去年のトリエンナーレ。
三渓園の一角に、ただ吊り下げられた一本の糸が、電熱器によって起こる空気の渦に漂うインスタレーション。
そして今回もまた、「作り」としては単純なものたちで、独特な空気感というか、
ちょっとした非日常に迷い込んだような印象を持った。
神奈川県立近代美術館というあんまりにぎわっている様を見たことのない
(周りにはあんなに人がいるにも関わらず、しかも鶴岡八幡宮の境内なのに!!)美術館ですが、
その美術館のために作られたようなインスタレーションの数々で、
一つ一つの作品というよりは「展示」全体で楽しむもののように感じました。
2階の展示をガラスケースの中から覗くと、なんとなくバタイユから引用するサブタイトルの
ニュアンスが伝わってくる。合わせ鏡のようにさえ見えてくる展示室の雰囲気がよい。
ほどほどの空き具合で見てほしい展示。
人によってはあっという間に見終わるかもしれないけれど、
一般で700円ってのは割安だと思うし、鎌倉に行く機会があればぜひ。