休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

2013.11.2 ジャパンvsオールブラックス

言わずと知れた世界最強のチームとの一戦。
2011年のワールドカップチャンピオンであり、2008年から5年間、世界ランク1位を譲らず、
もちろん日本もこれまで勝ったこともなければ、まともな試合もできていない。
(過去4戦4敗、直近は2011年ワールドカップ予選プールでの対戦:7-83)

そもそもの実力差を考えると、また世界レベルでの集客力を考えると、
日本で、しかも(ナビスコ杯の決勝で国立が使えなかったとはいえ)収容人数わずか2万人強の秩父宮に彼らが来ること自体が、
もうこの先、ほぼない(2019年のワールドカップも秩父宮は試合会場にならない)。

チケットは5分で売り切れ、試合発表当初からもっと大きなグランドで、という声もありました。
しかし秩父宮ラグビー専用のグランド、ということもあって、ピッチとの距離も非常に近く、見る側にはたまらない場所でもあります。
良くも悪くも、非常に幸運な2万人が、その試合を目撃できる、というこの日。チケットを運よく手に入れることができました。
せっかくの機会、歴史を目撃したと思うので、観戦記を残しておきたいと思います。


さて、この1週間、日本シリーズの陰に隠れて、ラグビーの記事が非常に増えていました。
「世界最強のNZ代表オールブラックス来る!」ということで、日本ラグビー協会も露出を増やし、スポーツ紙各紙もいつになく取り上げていました。

試合前に日本はエディ・ジョーンズヘッドコーチが脳梗塞で入院、ヘッドコーチ代行の下で行われることになるも、
「勝つつもりでやる」と力強く宣言。代表GMの岩渕氏も「4トライ以上」を目標に掲げます。

夏にウェールズ代表を破り、そのあとのPNCの戦いぶりなどから見ても、日本代表に対する期待は高まりつつあるが、
しかし絶対的な差はまだまだある、ファン心理としては「怖い」という気持ちがあったことも事実。

また、あのどうしようもない負けが繰り返されるのではないか。
目を覆いたくなるような、思い出したくもない、
もう見たくない、そんな80分になるのではないか。
期待と不安を抱きながら、キックオフを迎えました。


キックオフ前、ハカを舞うNZ代表

試合全体を強引にまとめるなら、
・最初の20分
・前半終了間までに流れを取り戻すNZ代表
・後半は最後まで日本は見せ場なし
というのが正直な印象。

試合後、エディーが「最初の20分間は良かった。世界のトップ10に勝つためには、同じことを50分間続けなくてはいけない」
とコメントしたように、最初の20分の健闘、そこからNZ代表の巻き返しだった。

最初のスコアはNZ代表。9分、ドロップアウトからのキックを綺麗にカウンターされ、
ラニのハイパントのキャッチミスから先制のトライを奪われる(0-7)。

その後、日本がPGで3点を返し(3-7)、さらに19分。
自陣5mライン付近でのラインアウトをブロードハーストがスチール。さらに攻め込んで、相手陣で反則をもらい22分五郎丸のPGで1点差(6-7)。

ここまでは、もちろんNZ代表のほうが圧倒的に力は上だけれど、戦える、という感じがあった。感動さえ覚えた。
もしかして、なにかが、という予感が生まれつつあったこの時間。しかし、日本はチャンスを逃してしまった。。。

1点差に迫った後のNZ代表ボールでのキックオフ。
マイボールをキープされるも、ブロードハーストのタックルでターンオーバー、
さらに相手陣へ深く蹴りこんだキックをNZ代表がミス。敵陣深めのところでラインアウトを得る。
ラインアウトはキープするも、反則があり、ここでいったん攻撃終了。

その反則後のキックを、福岡がバレーボール並にブロックし、マイボールとしてキープするという珍しいプレーがあったり、
ラインアウトでボールを奪われる、ということもあったが、まだNZ代表の流れではなかった。が、日本代表も得点まではいかなかった。

そして案の定、ここで点が取れていれば、と思わざるを得ない展開に。

ターニングポイントは25分。センターライン付近での日本ボールでのスクラム
ラニがピックアップするも、相手タックルでボールを失う。
一気に前進するNZ代表は26分にトライ(6-14)。

その直後のキックオフのタイミングで、10分ほど前に肩を負傷していた立川が交代。
ここからはNZ代表が一気。
日本のキックオフからNZ代表が再びハイパント。廣瀬のキャッチミスも絡んで28分にトライを奪われる(6-21)。

このあたりで、客席も「やっぱり…」という雰囲気が支配的に。
次のキックオフからはキレイに左右にボールを回され、タックルが一人ずつ遅れる。
ぐんぐん進んで、31分、5mスクラムからNZ代表キャプテン、マコウのトライで勝負あり(6-28)。
どこかで分かってたとはいえ、テンションは下がらざるを得ない。

かろうじて日本に可能性があった35分、
フェーズを重ね敵陣の深いところまで進むも、ツイが孤立してターンオーバーされ、日本はノートライで前半を終える。

NZ代表は前半繰り返していたオフサイドをある程度修正し、
後半開始からもNZ代表ペース。2トライ。
メンバーも入れ替わってきていた65分を過ぎにも、パントを使って立て続けに2トライ決められ、前後半合わせて浴びたトライ数は8に(6-54)。

前半の20分過ぎ以降、2011年のようにジャパンのラグビーが全く通じなかったか、
と言われれば、決してそうではないと思う。
2011年のことを思うとほんとに劇的。

しかし届かない。トライラインを越えられない。
後半には歩いてポジションに戻る選手がほとんどになり、
NZ代表と見比べるまでもなく、日本代表の疲労は明らかだった。
時間的に最後になるだろうと思われたキックオフから、
大野のタックルでひさびさに日本が大きく前進。
NZ代表トライライン前でフェーズを重ねるも、あと一歩が及ばず。
80分を過ぎて、福岡が飛び込むも、マコウに外に押し出され、ノーサイド

最後は日本に1トライも許さない、というオールブラックスのプライドやったんやろなぁ。
そこが、彼らのテーマだったのかもしれない。


結果、6-54。
日本はノートライに終わり、スコアだけを見れば、
これまでの試合の中で、最少得点差であったこと以外フォローのしようのない惨敗だった。

スコアだけを見て、取り上げてもらえなくてはラグビーファンは増えない。
それは「ウェールズに勝った」6月にすごく感じた。
自分も声をかけられたし、ラグビーに戻ってきた人も多かったんちゃうかな。
それだけに結果だけ、スコアだけを見ると、本当に残念。


日本も、向井さんがラグビー共和国のレポートに書いている通り、道は間違っていない、でも果てしなく遠い。
正直、もうちょっとうまくやってれば…という気持ちもなくはない。

日本代表にとってこの戦いの位置付けは本音のところはどうやったんかな。
いや、もちろん勝つつもりでした、と言うと思うけど。


何はともあれ、道が間違っていないことは感じられたと思う。多分。

一つ大敗して、大事な選手が怪我で抜けて、しかしすぐにまた格上の相手と試合。
そこでどんな結果になるかで、ハッキリと証明されるのではないかと思います。



参考リンク
http://sakura.rugby-japan.jp/japan/2013/id22442.html
http://bylines.news.yahoo.co.jp/murakamikoichi/20131103-00029480/
http://rugby-rp.com/news.asp?idx=105052&code_s=1000
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/rugby/all/2013/columndtl/201311020004-spnavi


それにしてもオールブラックスはすごかった。1ファンとしてはやっぱり生で見れた感動はある。

NZ代表はブレイクダウンでの強さもさることながら、早かった。守備も展開も。
あとは倒された後の起き上がる早さとか、密集への集散とか、キックオフのときにポジションに戻る早さも。

学生のスポーツとかでも、強いチームほどダラダラしない、ちゃんと片付けとかしてる、というけど、まさにそんな感じ。


でも、また日本代表の試合を見たい。
そういう気持ちにはなれたかな。