休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

結果は目新しいものでなかったとしてもーベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

サンウルブズが2年目の戦いを終え、スーパーラグビープレーオフに突入。個人的にはライオンズに頑張ってほしいのですが、次のハリケーンズ戦はなかなか厳しそうです……。

 

さて、よく「筋書きのないドラマ」と言われるスポーツ。選手個々のバックグラウンド、思いもよらぬ試合展開、そして結末、その後のエピローグなどが、時に多くの人を感動させます。そういった「感動」は、現代の消費社会において(その是非はともかく)、よく売れる。

一方でスポーツとは逆に、「筋書きのあるドラマ≒小説」において、よく売れる「筋書き」があるのかを統計的な手法を用いて分析した結果をまとめたのがこの本です。

 

ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

 

 ニューヨークタイムズのベストセラーリストをもとに、ヒットした小説とそうでなかった小説にどんな差があったのか。テキストデータをもとにデータ分析を行い、その違いを探っていった結果をまとめています。どんなトピックが選ばれたのか、文体にはどんな特徴があるか、どういう動詞がよく使われているか…これらをもとに、現代のアメリカでベストセラー小説を書く上でポイントとなる要素を分析していきます。この分析が示しているのは、あくまでも「ベストセラーになっている小説にはこういう傾向がある」という結果までであって、「こう書けばベストセラーになる」というハウツーではありません。しかし、結果として過去に出版された物語講座・小説講座などでしばしば強調されてきたようなトピックが挙がり、そのこと自体に意味を見出す読みもあるでしょう。

 

しかし、読み違えてはならないのはこれはあくまでもテキストデータの分析である、ということ。あくまでもこの調査が行われたアメリカの、一時点での傾向をもとにしたものであって、やっぱり時代、国や地域、言葉、いろんな要素が絡んでくる。繰り返しになりますが、重要なのはそういった「テキストデータによるデータ分析がここまで来ている」というところで、追記で説明されている部分が、一番面白い部分なのではないでしょうか。

とはいえ、その手法については、統計学をはじめとした専門知識が必要な部分で、いい意味でざっくりとした説明、専門家でなくてもイメージがつく範囲での説明にとどまっています。細かな手法までを学ぶ必要はなくて、大ざっぱに「こういうことをやっているんだ」というところをつかむには適度な範囲だと思いますが、もう少し細かいところもがんばって読みたかったなぁという気持ちもなくはない、というのが正直な感想です。

 

統計学が最強の学問である」でおなじみの西内啓さんが解説で日本国内でやりたいと思う人がいれば……と書かれていましたが、日経BPさんは本書を出されてる縁もあるし、そのうちやりそうな気がします。まずはビジネス書でやるのがいいと思うな。