休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

【読書】生活の発見/この眼鏡はいつからつけていたんだっけ

大学の講義の1回目に、言葉の歴史も含めた辞書載っている「History」という言葉をスタートに、「物語」 について考える、みたいな話があったのを思い出す。「三千年の歴史の中から学ぶことができないものは、その日暮らしの生活を送っているに過ぎない」というゲーテの言葉を帯に冠するこの本は、まさに歴史を振り返りながら、今自分たちが物事を見ているフレームを見つめなおす、発見の本。

 

生活の発見 場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅

生活の発見 場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅

 

 スタートは「愛」についてから始まる。曰く、古代ギリシアには6つの愛があったという。それは情熱や欲望を伴う「エロス」であり、友愛と訳される「フィリア」であり、遊びを伴うような「ルードゥス」、成熟した愛である「プラグマ」、慈善の愛としての「アガペー」、そして自己愛というべき「フィラウティア」と続く。今話しているその「愛」は果たしてどの「愛」なのか?

決して厳密に歴史を読み解いていく、というよりは、現代の私たちが抱える感覚・問題意識に近いところで、それがどう形成されてきたのかを、歴史と地域を超えて、紐解いていく、ある種エッセイに近いような本。歩く辞書のような、博学な歴史学者の人が「じゃあ今日はこの話を考えましょう」と静かに暖炉の前で話しているのを聞いているような感じだ(読んでいた時期はもうほんとに暑くて暑くてたまらない時期でしたが)。

 

自分が見ている世界を見るために、いつの間にかつけていた眼鏡の度を確認するために、歴史のはしごを上る。そして巨人の肩の上に立つための一冊。