休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

【映画】「判決、ふたつの希望」を深く見るためのレバノンに関する5つのこと。

気になっていた映画、「判決、ふたつの希望」を見てきました。

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レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。このときヤーセルがふと漏らした悪態はトニーの猛烈な怒りを買い、ヤーセルもまたトニーのタブーに触れる “ある一言”に尊厳を深く傷つけられ、ふたりの対立は法廷へ持ち込まれる。
やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題を引き起こす。かくして、水漏れをめぐる“ささいな口論”から始まった小さな事件は、レバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。

 映画「判決、ふたつの希望」公式サイト 2018年8/31公開

 

ということで、2016年のレバノンを舞台にした法廷劇。中東という難しい地域の背景を置いて、シンプルに映画の中だけのストーリーだけでも、振り上げた拳をどうおろすのか、どうして拳を振り上げてしまうのか。そして個人の怒りや悲しみがその枠を超えて「我々の」ものになってしまう、なってしまったときの恐怖……現代社会において、遠い異国の話ではない、という感じを共有できる、突き付けられる映画です。とてもよかった。

一方で「2016年のレバノン」がそもそもどんな状況なのか?背景にどんな歩みがあるのか、いくつか知っておくとより深く映画を見れるかも、と思ったことがあったのも事実。

自分も知っていたこともあるし、改めて調べたこともあって、せっかくなのでまとめておきます。*1

 

1.レバノンという国のなりたち

現在のレバノンにつながる歴史を超ざっくり振り返ると、オスマン帝国統治下から第一次世界大戦を経て、1920年に悪名高いサイクス・ピコ協定に基づくフランスの委任統治領に。その後、第2次大戦中のフランス本土の混乱時に独立したのが現在の国家につながるもので、第二次大戦後のベイルートを中心に反映するも、中東戦争の影響を受けた1975年から90年まで続いた内戦、その後シリア軍の駐屯・撤退を今に至る、といったところでしょうか。

 

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出典:Google Mapsレバノンのあたり。

 

2.レバノンに暮らす人々

人口の大半はアラブ人でアラビア語公用語ですが、フランス語も使われているそう。残念ながら閉店してしまいましたが、明治大学駿河台キャンパスの目の前にあった「アドニス」というレバノン料理のファストフード店はフランスが本社でした。

もともとこの地域にはマロン派というキリスト教の一派があって、キリスト教徒のアラブ人、という人がたくさんいます。加えて様々な宗派のイスラム教徒もおり、キリスト教も含めて18の宗教・宗派に属する人たちが暮らしています。

人口の40%を占めるキリスト教徒の女性は、服装も日本やヨーロッパとそんなに変わらない感じだし、映画の中でも女性弁護士、判事が出てきます。もっも言えばアイドルっぽい活動をしてる人もいるそうな(主役の一人も、レバノンでは人気のコメディ俳優なのだそう。大泉洋さん的なイメージかしらと勝手に想像しました)。

そこはさておき、パンフレットにも寄稿している佐野光子さんによると、そのありようは「るつぼ」というよりも「モザイク国家」。つまりいろんなバックグラウンドを持つ人が混ざり合いながら共存している、というよりも、初対面同士でお互いの名前や住んでいるエリア、身なりなどから素早くバックグラウンドを見極めて、相手を刺激しないように会話のテーマを選ぶような、そんなバランスを取りながらの暮らしなのだそうです(ある意味日本もそうか)。映画主人公の一人であるイスラム教徒の工事監督が、キリスト教徒が多い地域で、なるべく目のつかないところで礼拝をするように指示していたという話も、そういったシーンの1つでしょう。

 

3.レバノンパレスチナ人難民キャンプ

イスラエルに隣接する国、ということもあって、多くのパレスチナ難民が存在。1948年の第一次中東戦争以後、紆余曲折を経た現在も12か所の難民キャンプがあります。もはや二世、三世となりながらもそこに暮らす人々は40万人といい、人口の7%程度に相当。難民キャンプに暮らす人々は無国籍扱いで、スラムのような劣悪な環境に置かれ、就業や財産権、移動の自由なども規制されているそうです。一方でなかなか警察などの国家権力も及ばない状況でもあって。また、後述の内戦の要因や、社会が落ち着かないのはあいつらのせいだ、という見方をされることもしばしばなのだとか……。

さらに近年の隣国シリアでの混乱から逃れてきた難民も流入しているといいます。

 

 4.レバノン内戦

1975年から90年頃まで続いた内戦。イスラエルパレスチナの解放活動を行っていたPLOパレスチナ解放機構)がヨルダンを逃れてレバノン流入。それまで保たれていたキリスト教イスラム教のバランスが崩れたりで、内戦状態に突入します。さらにイスラエル、シリアなどの隣国も介入し、国連軍も駐屯しました。

※きっかけになった「PLOがヨルダンを逃れてきた原因」にはヨルダン内戦があって、このときの話も映画で出てくる(さらにその前には第3次中東戦争が……あぁ、もう複雑……)。

 

内戦の中では数多くの悲劇が起きた。それは国内のイスラム教徒のグループにも、キリスト教徒のグループにも起きていて、物語のキーにもなります。

1つ、事前に知っておいた方が……という話としては、内戦の中でも特に大きな出来事として1982年のイスラエル軍の侵攻(ガリラヤ和平作戦)があったこと、そしてそれを率いていたのが当時イスラエル国防相であったアリエル・シャロン(のちにイスラエルの首相)という人物であったこと。さらにその中で、イスラエルに訓練を受け、支援を受けた民兵組織としての「レバノン軍団」が、非武装パレスチナ人難民キャンプを襲撃、大量の虐殺を行った、という事件も起きているものの、現在のレバノン軍団はイスラエル寄りというよりは、独立したレバノン、を主張しているらしい。

 

この辺の1982年の出来事を扱った映画としては2009年公開の「戦場でワルツを」が重い。

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5.レバノン軍団

レバノン内戦時にバジール=ジュマイエルによって創設されたキリスト教マロン派の民兵組織。当初はどちらかというとイスラエル寄り。バジールはキリスト教マロン派の若者にカリスマ的な人気があったが、83年に暗殺されます。

その後、94年に非合法化されるが、現在は右寄りの政党として復活し、サミール=ジャアジャアという人物が率いており、彼も映画に出てきます。

 

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なんかもっとシンプルにまとめたかったのに、気が付くとそれぞれの項目がちょっとした長さになってしまった……。

ともかくも、レバノンという国は本当にいろんなバックグラウンドを持つ人がいて、いろんなことがあって、そんな中で何とか前を向いて暮らしていこう、としているところなのでしょう。それこそ「パレスチナ大義」を掲げて、宗教の話も、過去の諸々もあるけれど、と。

そんな映画の背景を知ったうえで一周回って、映画の中で描かれるシンプルな、しかし普遍的な問いがまた浮かび上がってくる。そこには現実的な女性の姿と素直に謝れない中年男性、あるいは、裁判で勝つことが目的になってしまう弁護士、ネトウヨルサンチマンと誰かの怒りを煽って暴力を拡大する仕組み、みたいな、日本のテレビドラマでもありそうな話も含まれているかもしれない。

 

良くも悪くも中東を舞台にした映画は重たすぎることも多いのですが(とはいえ、その現実からは逃げられなくて……という気持ちもありつつ)、この映画は後味がよい。それこそ、これからの未来に希望を抱かせるような。

その希望が現実になることを祈りつつ。

*1:なるべく正確を期したつもりですが、中東の専門家でもなければ、いろんな見方もできる話でもあって…ということで、大筋のところでご容赦ください

【読書】知らなくても生きていくには困らないけど、知りたくなる魅力/21世紀中東音楽ジャーナル

新婚旅行はトルコに行った。2013年のこと。美しいモスク。路地裏で食べた美味しい料理。イスタンブールはまた行きたい街の1つ。

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そのトルコ旅行のさなか、たしかエフェスだったと思うんだけど、買ったCDがある。その名もまんま「HIT 2012」。古い友達が、外国に旅行に行ったらそこでベストヒットのオムニバスCDを買うといいと思う、という話をしていたのを真似した。

1曲目がこれ。

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ちなみにこちらのTARKAN氏はドイツ逆輸入の超売れっ子アイドルらしい。

確かホテルとか、街中でもこの人のPVが流れてて「へぇー、けっこうイケイケなんやな」ぐらいのことを思ったのを覚えてるんだけど、プロフェッショナルである著者のサラーム海上さんのことを知ったのはもっとあとになってからだ。

 

で、今回読んだのがこちらの本。

21世紀中東音楽ジャーナル

21世紀中東音楽ジャーナル

 

私がトルコに行った時期よりもちょっと早い時期ではあるんだけど、サラームさん自身が実際に足を運んで、出会った音楽の記録。2002年のトルコ・イスタンブールからはじまって、2004年のモロッコ、ふたたび2005年にイスタンブール、2007年イエメン、2009年に本書では三度目のトルコ・イスタンブール。そして2011年のエジプト。

いわゆる伝統音楽だけじゃなくて、それが今どんな形で人々の中で聞かれているのか、がサラームさんの興味の対象。出てくる多士済々のミュージシャンは、Spotifyでも聞ける。それらを聞いてみるだけでも、単純にこんな音楽が、こんな世界があるんだ!という驚きと新しい音楽世界に足を踏み入れる喜びに満ちる。

折しも2011年は、まさにサラームさんが出くわしたエジプトの革命をはじめ、中東という地域のバランスが一気に変わった時期でもあって……という世の中の動きに加え、YouTubeSNSなどによる音楽との接し方の変化が生まれ、ある種世界中が「つながった」ようなころでもあって……という文脈でも、2000年代を振り返り、あと2年余りとなった2010年代のこれから、そして2020年代を見通すヒントになるかも。

 

2011年から7年経って中東地域の状況は大きく変わった。ISISの出現、直近でもリラの暴落の話が出ているトルコも、数年前からなんとなくきな臭い。本書に出てこない国でも、シリアの状況、イスラエルの火種はもっと大きくなったように思う。

それでも発信されるドキュメンタリー映画などで出てくる若者たちは、それこそおかれている状況の厳しさは比にならないけど、音楽の楽しみ方なんかは日本の私たちと何が違うんだろう、と思えるくらい。YouTubeだけじゃなくて、定額配信サービスも、トルコやレバノンサウジアラビアなどでも提供されている。

 

その後、何が起こっているのか。最新刊のこれも、ぜひ読んでみようと思う。

 

同じくエジプト・カイロで革命に居合わせた日本人の方の話。

10年後、ともに会いに

10年後、ともに会いに

 

 

やっぱりこの人を貼り付けとくべきなんだろう。

youtu.be

 

【番組】本当に怖い応援団の話……/目撃!にっぽん

(ちょっと追記しました)

「応援団」の強制感というか、体育会系の激しさがどうも苦手です。

ロッテの応援とか行ってるやん!というツッコミは甘んじて受ける。でもなんていうか、体育会系丸出しの応援団ってあるやん。あの、気合じゃー!的な、アレ。

アメリカ人の人が撮った高校野球のドキュメンタリーで紹介された智弁の応援団もなかなかきつかったけど、大学や社会人もすごいですよね。新卒で入った会社が紙関連だったので、王子製紙日本製紙の出場する都市対抗野球に動員で見に行ったことがあるのですが(普通に野球として楽しませていただきました)、あれを仕切る応援団ってけっこうすごいんだろうな……と思っていたところ、そんな応援団に問答無用で配属される新卒の子たちを取り上げたドキュメンタリーが、先日放送されました。

 

目撃!にっぽん「配属先は“応援団”?~鷺宮製作所 新人たちの夏~」

 

社会人野球の強豪、鷺宮製作所。新入社員は研修も兼ねて皆、強制で応援団に参加させられる。この夏都市対抗野球の応援に挑んだいまどきの若者たちは何を学んだのか。

社会人野球の頂点を決める都市対抗野球。東京都代表の強豪、鷺宮製作所は従業員1200人の自動制御機器メーカーだ。この会社、ユニークな制度を導入している。新入社員は皆、強制的に応援団に参加させられるのだ。社会人の心構えや会社への帰属意識を養うのが狙いだが、新人たちは「資格の勉強がしたい」「仕事を早く覚えたい」など疑問を持つ者も。彼らは大会を通じて、何を感じ、学ぶのか?新人たちのひと夏を見つめた。

 

www4.nhk.or.jp

都市対抗野球に毎年のように出場する強豪、鷺宮製作所。「新卒社員は研修も兼ねて皆、強制で応援団に参加させられる」という……。しかもそれは事前に知らされず、入社して初めて言い渡されるのだという…。

さらにその練習がすごい。土曜日も含めて週3日。業務として認められており、残業代も出るそうなんですが、

・30度を超える初夏に炎天下のアスファルトで腕立てして、手が熱い!って言ったら「そんなの我慢しろよ!」「押忍!」

・昼休み45分の大半は「自主練」で、営業の子はワイシャツ姿で「○○お願いします!」みたいな感じで動きの練習

・野球を見たこともなく、ワンテンポ遅れてる子に具体的なアドバイスをするわけでもなく「なんかしんないけど、もたもたもたもたみっともないからやめろ」

とか。業務として認められてる=業務命令だからやらざるを得ないという……

 

会社側の意図としては、「理不尽なこととか、やりたくないことをどう乗り越えるか」を考えるヒントになれば…という話で、番組も不満を持っていた技術の子と、営業の子の2人をメインに、会社の意図をコミュニケーション取って理解したり、思い切ってやって恥ずかしさを乗り越えたりして、本番を超えて、めでたし、めでたし、ってなるんですが。

なんていうか、時代錯誤感がすごいと思っちゃったんですが、否定的なツイートだけじゃなくて、こんな反応もあるぐらいだから、まだまだ日本の闇は深い。

  

 

ただ、ふと思って調べてみたのですが、離職率は想像以上に低い。

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出典:株式会社 鷺宮製作所の採用情報(初任給/従業員/福利厚生)|リクナビ2019

まぁ7月までだし、なんとか我慢しちゃうんだろうなぁ、今のところ……。

でもね、確実に1人はやめてる。これが原因かはわかりませんが。

 

なんていうか、「資格の勉強したいのに…」って言ってた子が、なんか前向きになった風になってすごくつらそうなまばたきをしながら前向きなコメントを絞り出してる姿とか、本当にうすら寒いというか、もともとの感覚のほうがよっぽど正常やで!と伝えたくなる…。応援団自体もそれでいいんだろうか……。

 

鷺宮製作所広報もこれ全国放送OKしたんだよね、と思うと、もっと怖い。NHKも含めて、これでいいんだってなっちゃうあたりが本当に怖い。本来スポーツって楽しいものだと思うし、スポーツで得られる一体感とか会社への帰属意識ってそれでいいのかしら?とか、こういう形で無理やりやるのって、すごく甘えじゃないか、って思うんですが……。このへんの感覚ってまだまだ一般的じゃないんだな、というのが知れたので、それがよかったと思うしかないんですかね……。

 

追記:「応援団」自体を否定する気は全然なくて。やりたくてやってる人はそれでいいと思うし(ちゃんと労働基準法には準拠してね!)、冒頭書いたとおり、僕もプロ野球の応援とか好きです。ロッテの外野席で歌ったりします。一体感、産まれるし、楽しい。仕切ってくれる人もありがたい。

でもそれを強制するのも違うと思うし、入社するまで黙ってるのも間違ってると思う。それで無理矢理やらせて、帰属意識を持たせるってのが、単にコミュニケーションをサボってるというか、甘えだと思うのです。

さらに言えば、仕事の理不尽とか、やりたくないけどやらなアカン状況は普通に仕事で乗り越えればいいじゃないですか。それを職場でサポートすればいいじゃないですか。そこを応援団に押し付けるのは、やりたくて応援団やってる人にも失礼やし、誰も幸せにならないんじゃないかしら、と。

【雑記】18/08/15-8/21

ふらり北海道強硬旅からはや一週間、いや、まだ一週間なのか。とりあえず更新する癖をつけたいので、つらつらと振り返り。

 

お盆は一人になりそうだったので、思い切ってドピークに合わせてお休みを取って、帰省→伊丹から札幌へ。AirBnBで予約したドミトリーで一泊して、深夜1時過ぎの新千歳ー羽田便で帰京。

21時を過ぎたあたりで新千歳はホントに何も空いて無くてなんだか不思議な空気。国際線ターミナルに向かう動く歩道も動いてるけどその先はシャッターが閉まっているという……。過ごし方としては保安検査場を通過して待機するのが正解でした。ローソンも最後まで開けててくれたし、電源が取れるカウンターもあります。

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羽田についた後は「キャビンホテル」というカプセルホテルへ。深夜でもう閉まっているのでインターフォンで開けてもらって、安い方の「ビジネスクラス」に泊まる。ほんとにシングルベッド1個分のコンテナって感じ。閉所恐怖症じゃなければそれなりに快適なのかも。「ファーストクラス」になると、多少ベッド以外のスペースもあるので、大きいスーツケースとかあるならそちらがおすすめ。いい意味で固めのマットレスが非常に寝心地よかったし、お風呂もきれいでした。

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旅行中に「たたみかた」を読みだして、すごく高まったほかには、こんなあたりを読む。

脱常識の社会学 第二版――社会の読み方入門 (岩波現代文庫)

脱常識の社会学 第二版――社会の読み方入門 (岩波現代文庫)

 

これは思ったより時間がかかってしまった。難しい、というわけではないけど、デュルケム中心にいろんな切り口で。パオロ=マッツァリーノから学術的にいきたい人とかいいんじゃないかしら。

こんなアンソロジーアリなんだ!という贅沢な一冊でした。綿矢りささん、柴崎友香さん、津村記久子さんあたりがお目当てだったのですが、久々に読んだ金原ひとみさん、はじめての高橋弘希さん、牧田真有子らの一篇も印象に残りました。武蔵野図書館より。

仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント

仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント

 

こちらも武蔵野図書館より。著者は国務長官時代のヒラリーの下で働いたこともあるある種の「スーパー・ウーマン」。「女性が輝く社会」の名のもとに、仕事も、子育ても、夫婦仲もすべてを同時に手に入れなくてはならない空気に、いやそれ無理やでー!と警鐘を鳴らす。

 

 

北海道から帰っての数日は涼しかったけど、暑さも湿気もぶり返してつらい。高校野球は何となく近江と金足農業の試合で冷めてしまった。当事者も巻き込んだ暴力的な感動の再生産、みたいなことを思ったりしたけど、そこに加担してたんだから何とも言えない。

仕事もなかなか大変です。新しいことのそうじゃない、ちゃんとして感と、それが自分に跳ね返ってこないようにと思いつつ。

 

【読書】「男らしさ女らしさ」を超えてコミュニケーションしていくためにーたたみかた 第2号

「30代のための新しい社会文芸誌」を掲げる「たたみかた」の第2号が出ました。

たたみかた 第2号 男らしさ女らしさ特集

たたみかた 第2号 男らしさ女らしさ特集

 

 2017年4月の創刊号から1年3か月ぶり。今回の特集は「男らしさ女らしさ」。ぱっと字面だけを見たときは少しクエスチョンマークが浮かんだのが正直なところだったけど、「特集のはじまりに寄せて」を読んで納得。日増しに高まる「男/女」について語ることの難しさについて、編集長の三根さんの中に芽を出した「怒り」に向き合うことからはじまったという。そして、それも含めた「怒り」「固有の私」「別個と同体」という3つの言葉が今回の特集の柱なのだ、と説明する。

「怒り」の中身や諸々の向き合いこそがこの特集の中身なので、そこはぜひ本誌を読んでみてほしいのだけれど、僕自身は「性別」というものが(もちろんLGBTも含めて)これほどまでに近く、あらゆる個人にひっついて、あらゆる文脈に付随して、ある種ミクロな話なのに、大文字で「男は~」「女は~」、あるいは「性別とかじゃなく~」というスケールになってしまう。場合によっては、顔の見えないもの同士でのぶつかりになってしまう。そんな状況への違和感やもどかしさと、それを超えるためのコミュニケーションの「ありかた」みたいなものを探す特集なのだと読んだ。前回の福島特集に引き続き、センシティブだけど、目を背けてばかりもいられないところだと思う。私と社会、私と他人でどう距離を取るのか。向き合うのか。私もまた社会の一員でもあり、誰かにとっての他人でもあり。

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前号に引き続き登場のソマリアで活動する永井陽右さんの話は、突き付けてくるものがある

 

あえて「ありかた」みたいなもの、としたのは、「ありかた」とだけ言うと何か正解があってそこにたどり着こうとするもののようなニュアンスが出るかもしれないと思ったから。でもここで行われているのは、何か唯一の正解を探そう、というものではなく、自分はどんなスタンスでいるか、いたいかを探すような感じ。

「私とあなたは違う生き物。違う感じ方をする。そのうえで、どう対話しましょうか、コミュニケーションしましょうか」という価値観は、これだけコミュニケーションの手法にあふれ、様々な背景を持つ人たちが交わり、言葉や思想を超えた関係ができている世の中で、1つ、ベーシックなものだと僕は思っていて(もしかするとそこには「宗教の無さ」みたいなものがあるのかな、と考えたりはする)。創刊号に『「たたみかた」は方向性』だという話があったけれど、「向き」が個々のインタビューや記事それぞれの1つ1つとは別に、通奏低音のように示されているように思う。ネットでは目立たないのかもしれないけれど、一定数その方向性にシンパシーを感じる層がいるなら、なんかちょっと勝手に救われる気分でもある。

そして、その方向に向かって進んでいくことの困難・・・例えば価値観を異にする人とのかかわりもそうだし(それこそ「多様性を認めない人の多様性」なんて話も出てくるけれど)、自分がその姿勢を持ち続けることも意外と難しいのもある。そこを強引にがんばろう!とするのではなく、真摯に向き合ってる感じがとてもいいなぁ、と。

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 実売までは伺い知れないけど、前号よりも64ページ増(140p→204p)、表紙も特殊紙に金の特色印刷と、想定もより豪華に(amazonのサムネだと伝わらないけど…)なっているあたりが、実は手応えだったり、届いている実感だといいなぁ。

【やってみた】考えながら飛んでいたのでは遅いので - Jump one

巷で話題の暗闇フィットネス(が正しいのかな?)。ボクシング、自転車など様々なバリエーションがありますが、トランポリンを使うのが Jump one です。

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(後から思うと的確に特徴がまとまった写真)

暗闇×音楽×照明のハイテンションな45分間エクササイズが日常のストレスを吹き飛ばし、ダイエットやシェイプアップ効果を期待できます。 

(公式HPより)

要はクラブみたいなフロアに個人サイズのトランポリンが並ぶ中を、45分間音楽に合わせていろんな形で飛んでいるうちに、がっつり汗もかきながら、筋肉痛にはなりづらいのにインナーマッスルも鍛えられて、しかもダンサブルなミュージックに合わせて飛ぶのはストレス解消にもぴったり!というモノです。

大きく Rythm Jump、Dance Jump、Boot Jump の3つのプログラムに分かれており、その中でもレベルが1~3まである。Rythm Jump が基本で、あとはその名の通り Dance Jump になるとそれっぽいステップが増えたり、Boot Jumpになるともっとエクササイズ要素が強くなったりする(らしい)。

で、こちら全国9か所にスタジオがあり(2018年8月現在)、場所によっては女性専用だったりするのですが、吉祥寺は男性も可、ということで、体験レッスンに行ってきました。

 

中は基本撮影禁止なので、写真は無く、もう言葉で伝えるしかないのですが、地下1階の入り口からもう1つ階段を下りてスタジオに入ると、そこは戦いのステージへ続く控室的な雰囲気。すでにロビー中央のロの字型のベンチには準備を整えられた方、静かにウォーミングアップをする方もいつつ、受付で体験レッスンである旨を名乗ります(会員だと、カードをタッチするだけで受付完了なようです)。

その場でバスタオルとフェイスタオル、お水、そして体験レッスン受講者であることを示すリング(ホワイトバンドみたいなやつ)を渡され、更衣室へ。男性側は奥にシャワーも2台あって非常に清潔。ちなみに別途料金でウェアも借りれますし、靴下も履いた状態でやるのですが、滑り止めの付いた専用靴下も売ってくれます。手ぶらでいっても大丈夫

そして着替え終わってロビーに戻ると、インストラクターの方から声をかけられ、挨拶とともに参加のきっかけや日頃の運動習慣などの確認とともに、簡単な内容の説明があります。この時はそこまで勧誘はされないのですが、その人の体力的な部分なども少し見極めがあるのかもしれません。まぁ中肉中背とはいえほとんど運動習慣がないと答えた私はどんな風に見えたのかはわかんないですが……。

 

そして開始のおよそ10分前、ついにステージの幕が上がり、トランポリンが並ぶスタジオへ入ります。どの位置のトランポリンで飛ぶかは事前に予約時に選ぶことができて、私は隅っこのほうへ……自分の運動神経を思うと、いくら暗くてもインストラクターさんと誰かの視線の間に立つなんて、怖くてできません……。

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さて、自分のトランポリンに到着したら、まずは音楽が無い状態で動きの確認が入ります。私が参加したのはベーシックなRythm Jumpの簡単なやつだったので、基本のジャンプから始まって4種類ほど。このとき、インストラクターさんとは別の方も1人いらっしゃって、飛び方をレクチャーしてくれます。

すでにリズムが怪しい感じがあったのですが、飛び方のポイントとしては身体全体で飛び上がるのではなく「腹筋を使って下半身を持ち上げる感じ」らしい。いわゆる冒頭の写真にあったような、アレです。この飛び方をすることによって、インナーマッスルが鍛えられ、ふくらはぎとか太ももとかの筋肉痛にもなりにくいらしい。姿勢改善にもつながるんですって。確かにね。

 

レクチャーは5~10分ぐらいでしょうか。「私もだんだん日本語を減らしていきますから、皆さん動きを見ながらついてきてくださいねー」というちょっとひっかかる説明のあと、インストラクターさんの立つステージにあるPA卓が操作され、いよいよ照明ダウン、音楽が始まります

そしてスポットライトが当たるステージ、レーザーのような照明が室内を照らし、ミラーボール…は無かった気がするけど、とにかくミュージックスタート!!と思ったらいきなりレクチャーになかった動き!そんな!!えっ、あっ、と戸惑いつつ、ついていくのですが、その時点でワンテンポ遅れている感じが分かります。

そこから45分。様々な曲のテンポに合わせて飛びます。途中でダンベルを使ったエクササイズもありました。はじっこのほうにしたので、インストラクターさんがちょっと遠いですが大丈夫。壁の鏡がうまく反射してどんな動きをしているかはよく見えました(逆にこちらのほうはあんまり見えなかったらしい。インストラクターさん的には反省ポイントだったようですが、私は一安心……)。が、いかんせん自分のセンスのなさを感じるのは動きを頭で考えながら飛んでしまうこと。慣れもあるんでしょうが、なんとなく全体のテンポからも遅れ、みんなが4回飛んでるところ、なんとなく3回ぐらいしか飛べてないような感じです。そんな感じで徐々に高まるフロアのテンションに比べて妙にあれこれ考えてなってしまっては、「Are you ready ⁉」 と言われても「Hoooo!!」と声を上げ、レスポンスするよりも、(´・ω・`)知らんがな」というツッコミが勝ってしまいます。いかん、これではストレス発散ができない……。

そう、考えながら飛んでしまった時点で負けなんです。周りなんか気にせず、うまく飛べてることを気にするよりも、場の空気と一体になってすべてを昇華する……!そんな気持ちで飛ばなければ。もちろん冷静に分析すれば、テンポが遅れてるのはレクチャーにあったように下半身だけを持ち上げることができず、全体で飛んでるから1ジャンプの時間が長くなってしまってるからでしょう。会員になってる人にも聞いてみたけど、こればっかりは慣れもあるので、いきなりやるのは無理だと割り切って、気にせず飛ぶべきなんです。でも、負けてしまいました……。終わった後、シャワーを浴びる前のアンケートを記入しているときも一生懸命勧誘されましたけど、この一体感についていけなかった挫折感を思うと、俺、来週も飛ぶよ!とは言えなかった……。

 

 

実際のところ、周りも暗いし、みんなインストラクターさんを見て必死に飛んでる中で、周りなんか気にしてる余裕もなさそうです(実際、周りがどうこうというよりは自分のことで精一杯でした…)。だから何も心配することなく、この瞬間を楽しめばいいじゃない、というインストラクターさんの声が聞こえるようですが、もうこれは自意識の問題です。おそらく。あの一体感に入れる自信が無いです。

よってもって、私は家で自分と向き合いながら、日々筋トレやストレッチをちゃんと続けようと思ったのでした。いいとか、悪いとかじゃなくて、向き不向き。自分を知れる、いい体験でした

 

ちなみに筋肉痛はほとんど無かったです。ちょっと心地よいハリがあるぐらい……あとなんとなくお腹に力が入って、姿勢を気にするようになったというか、だからホントに続けていけば効果はあると思うんですよ!会費もそこそこするので、お金と、自意識に余裕のある方はぜひ。

【読書】生活の発見/この眼鏡はいつからつけていたんだっけ

大学の講義の1回目に、言葉の歴史も含めた辞書載っている「History」という言葉をスタートに、「物語」 について考える、みたいな話があったのを思い出す。「三千年の歴史の中から学ぶことができないものは、その日暮らしの生活を送っているに過ぎない」というゲーテの言葉を帯に冠するこの本は、まさに歴史を振り返りながら、今自分たちが物事を見ているフレームを見つめなおす、発見の本。

 

生活の発見 場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅

生活の発見 場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅

 

 スタートは「愛」についてから始まる。曰く、古代ギリシアには6つの愛があったという。それは情熱や欲望を伴う「エロス」であり、友愛と訳される「フィリア」であり、遊びを伴うような「ルードゥス」、成熟した愛である「プラグマ」、慈善の愛としての「アガペー」、そして自己愛というべき「フィラウティア」と続く。今話しているその「愛」は果たしてどの「愛」なのか?

決して厳密に歴史を読み解いていく、というよりは、現代の私たちが抱える感覚・問題意識に近いところで、それがどう形成されてきたのかを、歴史と地域を超えて、紐解いていく、ある種エッセイに近いような本。歩く辞書のような、博学な歴史学者の人が「じゃあ今日はこの話を考えましょう」と静かに暖炉の前で話しているのを聞いているような感じだ(読んでいた時期はもうほんとに暑くて暑くてたまらない時期でしたが)。

 

自分が見ている世界を見るために、いつの間にかつけていた眼鏡の度を確認するために、歴史のはしごを上る。そして巨人の肩の上に立つための一冊。