休日にライターのようにラグビーの取材をすることもある(けど最近お休み気味)

平日は私企業で営業マン、休日は時々ラグビーイベントとかの取材をしている30代男性のブログです。でも最近は本とか映画とかの話が多いです。

単なる消費スタイルの変化なのか、次の世界なのか-物欲なき世界/菅付雅信

 

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Cut、エスクァイアなどで活躍された編集者菅付さんによる、消費文化論。いや、「消費」が終わる、という前提においては、これからの社会論なのかも。

 

水野和夫による「資本主義の終焉と歴史の危機」(2014年8月)ぐらいからチラホラ目につくようになってきた、「資本主義の次」をめぐる「文化系」からのアプローチ。「ライフスタイル」が商品となってきている現代において、人は何に欲望するのか、何を「欲しい」と思うのか、という問題提起から、アメリカ、中国の消費傾向やメイカーズムーブメントなどに触れたうえで、現代の消費スタイル、資本主義の限界とその次の見通しを語る。前半の現代における消費の傾向よりも、やはり後半、第5章以降がこの本のメインだろう。

資本主義の原動力となってきた欲望と消費の時代終わり、ケインズが1930年に「100年後には…」と話していた経済の問題が終わった後の世界が、もうすぐ来る。もちろん世界中に根付いた資本主義は簡単には終息しないだろうけれども、利益を生み出す運動としての資本主義は、もはや成長できなくなった世界において(つまりもはや忘れかけられているピケティの「r>g」の世界において)臨界を迎えつつあり、ソフトランディングできるのか、ハードランディングになるのかは分からないけれど、近く終わりを迎える。そして成長を前提としない定常型の社会に移行していく(しなくてはならない)のであって、そこには、消費が意味を持たなくなる「物欲なき世界」が待っている。「物欲なき世界」では、シェアやレンタルが当たり前の世界になり、【個人の思想・心情が強く含まれているが、他社とも価値観を共有できる「いい物語をもった人生」が最大の幸福になる】とする。そういう兆候はそれこそ前半に見たようなムーブメントの中にチラホラしてる。

 

ポートランド的なもの、中国のロハス層の広がりなどが潮流となって、それがIoTや3Dプリンタなどのもたらす共有を前提とした社会を呼び、既製品から個別生産の時代に移り…という話は分かるのだけれど、どうしても「そんなにうまくいくの?」という違和感が消えない。「限界費用ゼロ社会」もそうだったけど、IoTで、3Dプリンタで究極の効率化で…というロジックに対して素直に「おおそうか、すごいぞ!」とならないのは、自分の想像力が追い付いてないのか、おっさんになったということなのか。それが「資本主義の時代の次」をもたらすほどの、ムーブメントではなくて、「革命」になるんだ、という感覚に、どーにもこーにも追い付かない自分がいるのです。